Fujiwara/ 1月 30, 2023/ RESEARCH TOPICS

 

次世代アグリイノベーション研究センターの袁春紅准教授らは、利根川水系に生息している未利用淡水魚ハクレン資源に着目し、その筋肉を構成するミオシンとアクチンというタンパク質の熱安定性と塩変性を明らかにしました。

 

【研究の背景と概要】
世界人口の継続的な増加と魚介類の乱獲による海洋資源の枯渇から、次世代の食料を確保するため、私たちは茨城県霞ヶ浦に生息しているハクレン(Hypophthalmichthys molitrix)という淡水魚資源に着目した。ハクレンは成長が早いなど養殖コストが低く、また池で養殖されている魚介類のなかでは温室効果ガス、窒素及びリンの排出量が最も低い魚のひとつであり、環境にやさしい魚であるといえる。そのすり身はすでに中国で商品化され、食料として安全性は保証されている。また、すり身製品は高タンパク質かつ低脂質で、調理する手間もかからず手軽に摂取できることから、調理や食事の時間に限りのある生活リズムが早く忙しい方々に適した食品といえる。
ハクレンを原料としたすり身製品の開発には、その筋肉を構成するミオシンとアクチンというタンパク質の特性(熱安定性、塩変性)を調べる必要がある。私たちの研究結果はミオシンと結合しているアクチンの熱安定性は夏と冬とでは異なり、夏の方が5℃安定である。ミオシンの保護作用を失った場合、アクチンの熱安定性は夏と冬とで同じことを示した。今回の成果は、ハクレンの筋肉の有効利用について筋原線維ベースのモデル構築に貢献できる。

【発表論文】
タイトル :Thermal stability of actin of silver carp (Hypophthalmichthys molitrix) harvested in summer and winter as affected by myosin complexation
著者   :Zhuolin Wang,Yabin Niu, Shanzhen Zhao, Yuanyong Tian, Kefeng Yu,Tetsuro Yamashita, Youling Xiong, Chunhong Yuan
雑誌名  :Journal of Food Processing and Preservation
DOI番号 :10.1111/jfpp.17003

 

 

 

 

 

 

 

( クリックしていただきますと、拡大した画像をご覧いただけます )