Fujiwara/ 1月 31, 2023/ RESEARCH TOPICS

 

次世代アグリイノベーション研究センターの袁春紅准教授と中国浙江大学、海南热带海洋学院からなる研究グループは、ナノスケールの米デンプン-キシロオリゴ糖粒子を調製し、魚肉の3D印刷効果への影響とキシロオリゴ糖の放出制御効果について考察しました。

 

近年、3Dプリンティング技術は工学分野のみならず、食品加工への応用に関する研究も進んでいる。食品3Dプリンターの印刷材として、魚肉とデンプンはサポートと接着の能力を持ち合わせているため、現在最注目されている材料である。さらに、プリント材に機能性化合物を混ぜて印刷することは機能性食品(抗酸化、血圧低下)などの製造も利便にできるメリットがある。
本研究ではまずナノスケールの米デンプン-キシロオリゴ糖粒子を調製し、魚肉の3D印刷効果への影響とキシロオリゴ糖の放出制御効果について考察した。結果として、ナノデンプンとキシロオリゴ糖の比例は1:2.5の時、最も良いナノ粒子特性(粒径444nm、埋立率86%、良好な粒径安定性)が見られた。また、魚肉製品の抗酸化能力を与え、消化モデル実験でキシロオリゴ糖の放出時間が長くなることで、人体内での持続的な放出が可能であると証明できた。さらに、ナノデンプン-キシロオリゴ糖粒子は、魚のゲルのイオン結合を78%、水素結合を58%増加させたこと、形成したゲルの強度と弾性が高められた。ゲル形成時に生じた空洞もナノデンプン-キシロオリゴ糖粒子に埋められ、より緻密な構造を形成し、強度と弾性のあるゲルができ、印刷効果の向上に繋げた。こういった機能性物質と最新の3Dプリンティング技術を組み合わせることで、より低コスト、便利尚且つ効率よく健康に良い食品の製造が期待できる。

【発表論文】
タイトル :3D printing and controlled release of functional ripening surimi improved by nano starch-xylo-oligosaccharides: Chemical bonds and microstructure influences
著者   :Gaoshang Li , Zhiheng Hu , Junqi Zhan , Jiayin Huang, Zijing Lu, Chunhong Yuan ,Jianchu Chen, Yaqin Hu
雑誌名  :Innovative Food Science & Emerging Technologies
DOI番号 :10.1016/j.ifset.2022.103156

 

3D印刷した魚肉製品

 

 

 

 

 

 

 

研究概要図

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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