Fujiwara/ 10月 29, 2025/ NEWS

10月23日(木)に「第31回 一般・高校生向けセミナー」を開催しました。今回は【スマート農業技術の活用~画像処理やAIによる省力化支援~】をテーマに、木村彰男 データサイエンス部門兼任教員(理工学部教授)が講演を行い、37名の参加者にご聴講いただきました。

セミナーでは、農林水産省が推進する「スマート農業」について、人の手で行われてきた農作業の部分的自動化による省力化や、経験や勘といった数値化しにくいノウハウの“見える化”による人手不足の解消などを目的に、画像処理やAIが積極的に活用されている現状についてご紹介いただきました。

現在は手作業で行われているイネの形質の測定・数値化を省力化するため、ドローンによる空撮画像からAIでイネの穂を検出して形質測定を支援する研究について紹介がありました。AIの性能を高めるには、天候や高度などの条件を変えて撮影するほか、千数百枚もの空撮画像を手作業で加工するなど地道な作業が欠かせないとのことでした。
また、水産業との関連についても説明があり、魚類の画像を経過日数ごとに撮影してAIに学習させることで、これまで職人の目利きに頼っていた鮮度判定のノウハウをAIで見える化する試みについてもお話いただきました。
参加者の皆さまからは多くの質問が寄せられ、「生成AIによる画像解析には地道なデータ抽出作業があり、膨大な手間がかかっていることを知ることができた」「近年の気候変動により農業自体が過酷な作業になっているが、スマート農業によって省力化が進み、従事者が増えることにつながればよいと感じた」といった感想が寄せられました。高校生の皆さんは進路の参考にもされていたようです。
オンライン配信にも多くの方にご参加いただき、大変ご好評をいただいております。

次回は11月17日(月)に【野生動物と農作物被害】をテーマに、出口善隆 生態環境部門兼任教員(農学部教授)が講演を行います。
今後も毎月1回程度のペースで継続的に開催し、当センターの研究成果を日常の身近な話題に落とし込みながら、地域に向けて発信してまいります。皆さまのご参加を心よりお待ちしております!