AICセンター長 下野裕之らの研究グループは,岩手大学が開発した「イネ初冬直播き」の
広域適応性を北海道から九州の11地点での大規模な連携試験から明らかにしました。
日本の主食であるコメ生産の現場は急速に高齢化による農地集約が進んでいます。農繁期である春は極めて忙しく、規模拡大の大きなネックとなっています。そこで岩手大学では抜本的な作業分散につながる「イネ初冬直播き栽培」を開発しました。本論文では,本技術が岩手だけでなく、他の地域でも利用できるのか,北海道から九州までの11地点で2シーズン、3か年にわたる連携した大規模試験から越冬後の出芽率を評価しました。結果、本技術は、播種量を調整すれば、全国で適応可能な技術であるとともに、特に東北,北陸地域で有望な技術であることを実証しました。現在は、出芽した後の本田でのイネの安定多収を目指した技術開発、また生産者への普及を進めています。
【参考論文】
1.鈴木 健策, 柏木 純一, 中島 大賢, 長菅 輝義, 望月 俊宏, 安彦 友美, 古畑 昌巳, 大平 陽一, 千葉 雅大, 木村 利行, 矢野 真二, 阿部 光希, 松田 晃, 齋藤 寛, 笹川 正樹, 髙橋 元紀, 西村 拓, 濱本 昌一郎, 常田 岳志, 西 政佳, 由比 進, 下野 裕之, 水稲の初冬直播き栽培における播種時期と種子コーティングが出芽率に及ぼす影響の広域評価, 日本作物学会紀事, 2022, 91 巻, 4 号, p. 291-302, https://doi.org/10.1626/jcs.91.291
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcs/91/4/91_291/_article/-char/ja
2.初冬直播き研究会HP
https://fuyugoshi.wixsite.com/shotomaki