3月6日(月)、「第9回一般・高校生向けセミナー」を開催しました。
第9回は【人とかかわる野生動物の行動】の演題で、
出口善隆 環境生態部門兼任教員(農学部准教授) が講演を行い、
39名の参加者に熱心に聴講いただきました。
シカやイノシシ、ツキノワグマなどの大型哺乳動物は、体が大きいため行動圏が狭く人と被ってしまいます。
ここ数年、大型哺乳動物による農作物の被害が多く報告されています。
ニホンジカやツキノワグマは、普段は昼間や日没前後に活動し、山の植物を食べていますが、農作物の収穫時期になると、夕方から早朝にかけて活動時間を変えて行動し、作物に被害を与えます。
普段の自分の活動時間帯と違う時間帯にシフトすることによって、人に会わないで農作物をたべるという戦略をとります。
人間の活動時間を学習し、人を避けて活動時間を変えて行動します。
北東北のイノシシは、春から秋は日没前後、冬は昼間に活動します。季節により活動時間を変えて行動します。
冬に昼間に活動するのは、体温エネルギーを使わないよう昼間に活動すると思われます。
ニホンカモシカは縄張りがあるため、数時間おきに活動します。
畑に現れる野生動物は、人間の活動時間帯を学習し、それに対応できるように自分の行動を変化させ適用しています。
農作物の被害を抑える対策は、1回で万全ということはありません。何かの被害対策をすると、動物も考え学習し、すり抜ける方法を考えます。
野生動物の行動を制御するには、人間も常にバージョンアップすることが必要です。
今回のセミナーでは、ニホンジカやイノシシ、ツキノワグマ、ニホンカモシカの分布や生態、活動時間について、それぞれ、図や表、グラフで表し、大変わかりやすく丁寧に説明されておりました。
参加された皆様からは、「人の活動時間を学習し、行動を変化させて人間を避けながら行動していることを知りとてもよかった」、「人の活動を学習するため、常に対策を変えていくことが大切と学びました」、「野生動物の分布や生態、時間帯について分かり参加してよかった」など、たくさんの声が寄せられました。
また、参加された高校生は、「農学について知識を深めるため」、「動物関係の学部に進みたい」など進路の参考にされていたようです。
次回のセミナーは、4月以降開催する予定です。
日程が決まりましたら、当webサイトに掲載しますので、ぜひご参加ください。
当センターの研究成果を、日常の身近な話題に落とし込みながら地域に向けて発信していきます。
ご参加をお待ちしております!