4月22日(水)に「第34回 一般・高校生向けセミナー」を開催しました。今回は 「魚を科学する―おいしさ・鮮度・健康機能の秘密―」 をテーマに、袁 春紅(食と生活部門・農学部教授)が講演を行い、48名の参加をいただきました。
セミナーでは、私たちの食卓に馴染みのある魚について、“おいしさ”、“鮮度”、“健康への影響”を中心にご説明いただきました。
まず「おいしさ」については、構成要素として⓵基本味(甘味・酸味など)、⓶風味(香り・こくなど)、⓷食味(歯ごたえ・色など)が挙げられることを説明し、今回は基本味の一つである「うま味」に焦点を当ててお話しいただきました。うま味成分は20世紀初頭に東京帝国大学の池田菊苗博士によって昆布だしの成分であるグルタミン酸として初めて特定して以来、イノシン酸やグアニル酸など様々な成分が明らかになってきたこと、また魚介類のうま味成分は生きている状態ではほとんど存在せず、熟成や発酵などの加工によって引き出されることが示されました。
次に魚の鮮度について、死後にイノシン酸などのうま味成分が増える一方で、鮮度が低下すると食用に適さなくなることが説明されました。五感による経験的な判断法に加え、光学的特徴や電気的特性など多様な指標で鮮度を評価できること、鮮度は単に漁獲からの経過時間ではなく、ATP(アデノシン三リン酸)の分解など死後変化の進行度によって測れること、生化学的・物理的性状や微生物学的指標を総合的に評価する必要があると解説されました。
最後に魚の健康効果について、オメガ3脂肪酸(DHA/EPA)をはじめ多くの栄養成分が含まれていること、またかまぼこなどの練り製品は肉類や卵に比べて消化性に優れる点などが紹介されました。
参加者からは次のような感想が寄せられました。
「魚類の栄養がもたらす健康への良い影響が知れて良かった。帰宅したら家族にも伝えたい。」「中国でのハクレン養殖の生産量が膨大で、その消費のされ方に興味を持った。」「先生のホヤの話が印象的だった。ホヤの美味しさを広めたい。」などの声がありました。
次回は 5月26日(火) に 「『データ』と『機械』で山を動かす!〜これからの林業と持続可能な森づくり〜」 をテーマに、齋藤 仁志(生態環境部門兼任教員・農学部教授)が講演を行います。今後も毎月程度のペースで継続開催し、当センターの研究成果を日常の身近な話題に落とし込みながら地域へ発信してまいります。皆さまのご参加を心よりお待ちしております。
