Fujiwara/ 4月 26, 2024/ RESEARCH TOPICS

次世代アグリイノベーション研究センター 芝﨑祐二准教授らの研究グループは、梨の皮などに含まれるアルブチンを化学反応させることでアルブチンポリマーを、またこの物質と生体適合性ポリマーとして知られるポリエチレングリコールと連結させることで、バイオゲルの開発に成功しました。この成果はElsevier社の国際誌であるReactive and Functional Polymers(インパクトファクター5.1)に掲載されました(2024年1月24日、Volume 199 105908)。

 

アルブチンは古来、梨やウバウルシ、クマコケモモの葉などの植物に含まれ、尿路消毒・利尿剤として尿道炎,膀胱炎,腎盂腎炎などに用いられてきました。さらに近年ではアルブチンがメラノサイトに作用し、シミやそばかすの原因となるメラニン色素の生成を抑制することから美白化粧品として広く販売されるようになっています。これは、アルブチンがメラニン色素の合成に関わる酵素であるチロシナーゼに直接作用し、シミやそばかすの原因となるメラニン色素の合成を阻害する働きがあるためです。芝﨑等の研究グループではアルブチンを用いた機能性高分子材料の開発を行っており、その一環として今回、生体適合性ポリマーであるポリエチレングリコールとの連結による新規なバイオヒドロゲルを開発しました。このゲルは、形状を記憶し、刺激により元の形状を速やかに回復する形状記憶特性を示しました。アルブチンポリマーは抗菌、抗酸化作用も持つことから、今後、安全安心な日用品用途として展開が見込まれます。

【発表論文】
タイトル :Synthesis of shape memory bio-based crosslinked polymer: Poly(arbutin)-co-poly(tosyl arbutin)-co-poly(ethylene glycol)
著者   :Kota Nishizawa, Tadashi Tsukamoto, Yoshiyuki Oishi, Yuji Shibasaki
雑誌名  :Reactive and Functional Polymers
DOI番号 : https://doi.org/10.1016/j.reactfunctpolym.2024.105908