Fujiwara/ 6月 7, 2024/ RESEARCH TOPICS


次世代アグリイノベーション研究センターの高木浩一教授らは、自作のコイルと特別に設計したバーストタイプの高周波電源を組み合わせて高密度で電子・イオンを発生させる仕組みを開発しました。その高周波プラズマ装置を用いて発生するプラズマの時間・空間発展をICCD (イメージインテンシファイアCCD)を使って観測して、荷電粒子が発生して、かつ時間的・空間的に発展、またそれらの規則性を明らかにしました。本成果は、応用物理学会の学術誌 Japanese Journal of Applied Physics誌(インパクトファクター1.50 in 2023)に掲載されました。

プラズマや高電圧を農業や食品に利用する研究が盛んになりつつあります。本年度からはじまった科学研究費助成事業(科研費)学術変革領域研究(A)「プラズマが駆動する気相から種子への活性種輸送の学理構築」(代表;古閑 一憲 九州大学・教授)でも、植物種子へのプラズマ照射で種子の発芽や苗の耐病性を高める、生育の改善へつなげるなどの試みがなされています。それらでは、プラズマに内包されるラジカルといった化学的に反応に富む粒子の振る舞いがカギを握るとされています。
本研究では、パルスパワーといった独自の技術でバースト型の高周波電源を設計し、コイル内に時間的に制御された電磁場を作り出しました。その電磁場で発生するプラズマをICCDで観測しました。その結果、荷電粒子は静電場が強い円筒菅の外側で発生し、空間電荷による電場や粒子の拡散で時空間的に発展すること、その際の規則性などを明らかにしました。このことは、高周波プラズマを高密度で発生して、その化学的な活性種を農業や食品などを含む産業に利用する際の重要な知⾒となります。

【発表論文】
タイトル :Time-resolved observation of 150 kHz high-power pulse burst high-frequency discharge
        using a high-speed video camera and an intensified charge coupled device camera
著者   :N. Takahashi, H. Suenaga, G. Ichii, K. Takahashi, S. Mukaigawa, K. Takaki
雑誌名  :Japanese Journal of Applied Physics, 63, 05SP12 (8pp), 2024.5
DOI番号 : https://doi.org/10.35848/1347-4065/ad3d67