Fujiwara/ 10月 27, 2026/ NEWS

10月15日(木)、「第39回 一般・高校生向けセミナー」を開催しました。今回は「微生物による環境に優しいバイオプラスチックづくりと、海のプラスチックごみ生分解のおはなし」をテーマに、山田美和教授(生物生産部門・農学部)が講演を行い、27名の方にご参加いただきました。

セミナーでは、地球規模の課題であるプラスチックによる環境汚染を取り上げ、その解決に向けた鍵となる「微生物の力」を活用したプラスチックの合成や分解技術についてご講演いただきました。

プラスチックは現代社会に欠かせない素材である一方、石油由来製品であるための将来的な資源枯渇と、自然界で分解されにくい素材の大量消費・廃棄による環境負荷という2つの大きな課題を抱えています。この「合成」と「分解」という双方の課題を解決する手段として着目されているのが、地球上に広く存在する微生物です。講演では、微生物によって合成から分解までが行える代表的なバイオプラスチックとして「ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)」が紹介されました。PHAはコストや耐久性に課題が残るものの、環境負荷が低く、海洋や深海でも生分解されるといった優れた利点を持つため、近年産業利用が進められています。

続いて、山田先生の研究室における取り組みが紹介されました。研究室では、廃棄海藻を利用したバイオプラスチックの微生物合成技術を研究されています。これは地域の産業廃棄物を有効活用し、原料供給から製造までを一貫して行う「完全純国産」のバイオプラスチック実現を目指す試みです。合成を担う微生物の候補として、大船渡湾近郊から採取された「Cobetia菌」が発見されており、今後はPHAの生産性をより高め、実用的な合成能力を持つ菌株へと改良を重ねていくことが重要課題であると語られました。

最後に、バイオプラスチックの生分解性に関する最新研究についてお話がありました。事例として取り上げられた「ナイロン4(ポリアミド4/PA4)」は、陸上・海洋の双方で優れた生分解性を示します。現在、土壌や海洋から特定されたPA4分解菌をもとに、分解酵素のメカニズム解析が進められています。地球環境に優しい技術の確立に向け、今後も微生物が持つ未知の可能性を引き出していきたいという期待を込めた言葉でセミナーは締めくくられました。

参加者からは、「先生がワクワク楽しみながら研究されていることが伝わりました。それが成果にもつながっていると思いますし、学生のモチベーションにもつながると思います。」「広い地球の中で目的の微生物を探すという地道な活動の積み重ねが成果になっていることに感心しました。」「説明がわかりやすく、目的がはっきりとしていた」
などの声が寄せられました。

今後も毎月程度のペースで継続開催し、当センターの研究成果を日常の身近な話題に落とし込みながら地域へ発信してまいります。皆さまのご参加を心よりお待ちしております。