AIC芝﨑等の研究グループは、新規な熱硬化性形状記憶樹脂の開発に成功し、その成果はElsevior社の国際誌であるReactive & Functional Polymers(インパクトファクター5.0)に掲載されました(2022年5月13日、Volume 176, July 2022, 105293)。
硬い骨格からなる三本鎖アミド分子に対して、生体適合性ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールを共重合させることで機械特性を微調整可能な架橋ゲルを調製しました。このゲルは油分を480%と高度に吸収することができるとともに、強度12 MPa、弾性率3.6 GPa、破断伸び328%と優れた機械特性を示し、さらに形状回復能、形状記憶能が共に95%を超える信頼性の高い性能を示すことがわかりました。優れた形状記憶の発現は、硬いアミドセグメントが柔らかいポリエーテルセグメント中に微分散していること、ポリエチレングリコールが60℃以上で溶融し、フィルムに成型性を付与できることに由来するものです。研究グループは開発した材料を、土壌、河川、海水汚染時の吸着剤として利用することを想定し、研究を進めています。
( クリックしていただきますと、拡大した画像をご覧いただけます )