Fujiwara/ 5月 18, 2023/ RESEARCH TOPICS

次世代アグリイノベーション研究センターの西向めぐみ教授と山田美和教授は、弘前大学農学生命科学部の柏木明子教授との共同研究により、微生物由来の酵素を用いて非天然リン脂質プラスマローゲンの合成に成功した。この成果は、英国で最も古い歴史を持つ微生物学会Applied Microbiology Internationalが発行する5つの学術雑誌の1つLetters in Applied Microbiologyにて発表された。

 

エーテル型リン脂質の一種であるプラスマローゲンは、アルツハイマー病や動脈硬化症など酸化ストレスが原因となる重要な疾病における病態マーカーとしての有用性や、プラスマローゲン摂取による疾病の改善効果が期待されている。しかし、従来利用されてきた動物の臓器などから得られるプラスマローゲンには、特定の化学構造(官能基)を持つプラスマローゲンしか含まれていない。しかし、官能基の違いによって生理機能が異なることが期待されるため、異なる官能基を持つプラスマローゲンの合成が望まれている。本研究は、放線菌由来の酵素フォスフォリパーゼDを使い、天然に存在しない官能基を持つプラスマローゲンを合成した初めての報告である。今回開発した方法論は、様々な官能基を持つ希少・非天然構造を持つプラスマローゲン合成に発展・貢献するものである。

【発表論文】
タイトル :Improvement of solubility of phospholipase D from Streptomyces antibioticus in recombinant Escherichia coli and its application for the enzymatic synthesis of a non-natural plasmalogen
著者   :Riko Yamaguchi§, Shamoli Akter§, Aki Kanehama, Takahiro Iwamoto, Meme Hasegawa, Akeno Ito, Megumi Nishimukai, Miwa Yamada, Akiko Kashiwagi (§共筆頭著者)
雑誌名  :Letters in Applied Microbiology, 2023 Apr 3;76(4):ovad049.
DOI番号 :https://doi.org/10.1093/lambio/ovad049

【関連リンク】
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