Fujiwara/ 3月 11, 2024/ RESEARCH TOPICS

 

次世代アグリイノベーション研究センターの袁春紅教授らの研究グループは、ホタテ貝肥満度・生化学組成の周年変化を測定した上、低温貯蔵中の活力変化を比較し、高品質流通できる方法を提案しました。その成果はTaylor&Francis社の国際誌であるJournal of Aquatic Food Product Technologyに掲載されました(2024年3月3日、Volume 33 2320835)。

 

【研究の背景と概要】
ホタテガイ(Mizuhopecten yessoensis)は、北海道および日本の北東部地域、中国北部沿岸に自然分布し、海洋性の二枚貝である。また、広範囲にわたって養殖も行われている。ホタテガイの貝柱は食用の主要部位であり、高い栄養価を有している。貝柱にはタンパク質、ミネラル、ビタミンなどが豊富に含まれており、高級な珍味として評価されている。中国では活ホタテで流通しており、北海道でもホタテを大量に輸出してきた。
活ホタテの品質管理において活力は重要な要素である。これまでホタテの排卵によるエネルギー変動について報告されたが、貯蔵中の活力に対する影響は、不明である。本論文は、季節によるホタテ貝栄養成分の変化や、活力に対する影響を調べた。2019年を通じてホタテ肥満度や、開殻筋栄養成分などの生化学組成を分析し、その結果、開殻筋のグリコーゲン含有量が、大きく変動したことが明らかになった。5月から6月の間に7.84%に達し、9月から11月の間に0.39%しかなかった。その差は20倍に達した。高いグリコーゲンのホタテは、ATPの含量も高かった。低温貯蔵中に高いATPを維持することができ、安定した活力を示した。
以上の結果から、ホタテを、排卵したあとに低温流通状況を維持すれば、筋肉のATP含量が高いため、活貝流通に有利になると考える。本研究の成果は、ホタテガイの品質維持に関する理論的な方法や評価方法に活用でき、加工から保蔵におけるホタテガイの品質維持に寄与する重要な知見となると考えられる。

【発表論文】
タイトル :Effects of Seasonal Variation in Plumpness, Biochemical Composition from Scallop (Mizuhopecten yessoensis) on Vitality Changes During Dry Storage
著者   :Yan Cai, Minghui Jiang, Jinyang Liu, Zhongzhuan Yin, Yuanyong Tian & Chunhong Yuan
雑誌名  :Journal of Aquatic Food Product Technology
DOI番号 : https://doi.org/10.1080/10498850.2024.2320835