Fujiwara/ 3月 18, 2024/ RESEARCH TOPICS

次世代アグリイノベーション研究センターの袁春紅教授らは、中国海南熱帯海洋学院食品科学と工程学院の胡亜芹教授との共同研究により、魚介類の腐敗臭の原因菌の一つであるShewanella putrefaciens(SHP)遺伝子luxS欠損変異株を構築し、luxSの腐敗能力における制御に関する研究を行いました。その成果はElsevier社の国際誌であるFood Microbiology(インパクトファクター6.374)に掲載されました(Volume 120,January 2024, 104467)。

 

【研究の背景と概要】
SHPは臭気物質トリメチルアミン、硫化物を産生する海洋微生物であり、海洋水産物によく見られる腐敗菌である。最近の研究では、グラム陽性菌とグラム陽性菌の両方で広く検出されているAI-2/luxS QS システムはShewanella 属腐敗特性の発見を制御することが報告されている。Shewanella属の腐敗能力をluxSがAI-2 QSシステムまたはメチルサイクル (AMC)経路を介して仲介するかどうかという論争は、さらなる研究の興味深い分野となっている。この研究では、遺伝子luxSがAI-2 QSシステムとAMC経路両方との関係に焦点に当て、SHPにおけるluxSの腐敗能力制御を調査した。

その結果、本研究においてSHPのluxS変異株が構築され、野生型株と比較し、luxS変異株は培地と外部添加物による成長制限の程度が異なることが示された。luxS欠損は、SHPの腐敗能力を減少させ、主にバイオフィルム形成の減少、H2S生産能力の低下、および魚のホモジネート液に対する比較的弱い腐敗誘発効果を通じて現れた。

luxSが介在する循環物質の促進効果から、AI-2 QSシステムとAMC経路がSHPの腐敗能力に潜在的な制御を有している可能性が示唆された。luxS変異株で観察された腐敗能力の減少は、AMCの調節不全とシグナル分子AI-2の生産の阻害と密接に関連していることが示唆されている。

【研究チーム】
この研究は岩手大学、海南熱帯海洋学院食品科学と工程学院、海南熱帯海洋学院崖州湾創新研究院、などの研究者が協力して完成された。

【発表論文】
タイトル :The luxS deletion reduces the spoilage ability of Shewanella putrefaciens: An analysis focusing on quorum sensing and activated methyl cycle
著者   :Zhiheng Hu, Yaoxian Chin, Chunhong Yuan, Yingliang Ge, Yuyu Hang, Dongxue Wang, Qian Yao, Yaqin Hu
雑誌名  :Food Microbiology
DOI番号 : https://doi.org/10.1016/j.fm.2024.104467