本センターでは、2月3日(月)にシンポジウム「岩手県での持続可能な再生可能エネルギー供給実現に向けて」を開催し、オンラインも含め96名の方にご参加いただきました。
本シンポジウムは、岩手県の地域資源を活用した持続可能な社会の実現に向けた取組や研究を展開する上で、様々な視点から課題を捉え、共有することを目的に、省エネ、再生可能エネルギーの研究、普及に携わる5名の講師をお招きし、各方面での取組事例や課題についてお話いただくとともに、議論を深める大変貴重な機会となりました。
最初に、東北電力株式会社岩手支店の佐藤拓様から、東北電力グループの再生可能エネルギー普及の取組に加えて、電力の需給バランスや出力制御の実施等の課題についても講演をいただきました。
次いで、名古屋大学大学院の丸山康司様から、エネルギー事業の地場産業としての波及効果とともに、環境影響評価や社会的受容性に関する課題、地域の他産業と連携した地域戦略ついて講演をいただきました。
続いて、石川県立大学の馬場保徳様より、身近なところにある雑草・野菜クズからガスと電気を生産する「エコスタンドアロン」の開発と実証試験について講演いただき、災害時の電力供給源としての活用や東南アジアの農村部での電力自給の可能性など今後の展開についてお話いただきました。
森林総合研究所東北支所の久保山裕史様からは、木質バイオマス需給の現状と、燃料である木材の国内自給率の低さや価格上昇といった課題についてお話いただき、また、木質バイオマス供給拡大に向けた林業全体での燃料材の効率的な生産、未利用材の活用促進について提言いただきました。
紫波グリーンエネルギー株式会社の山口勝洋様には、省エネ・再生可能エネルギーの地域で普及にあたり、地域市民と協働した発電事業の導入実績の紹介とともに、地域エネルギー会社としてどう事業化し、軌道に乗せていくかといった企業の視点から講演をいただきました。
最後に、講師の皆さまとセンター教員2名によるパネルディスカッションを行い、再生可能エネルギーの実装・普及に向けた課題解決のポイントや今後の展望について意見交換を行いました。
シンポジウム終了後のアンケートでは、「色々な再生可能エネルギーの形を知れて勉強になりました」「再エネも森林の路網も複数の機能を持たせることが、現実的に再エネ等を普及・運用していくことが大切だと学んだ」「岩手で取組む再エネの基本的なことを理解できた」など、多くの声が寄せられました。また、講師の側からも、異なる分野の専門家と意見交換を通じて見聞を広げることができた、とのコメントをいただきました。
今後も毎月1回程度セミナー等を継続的に開催し、当センターの活動や研究成果を日常の身近な話題に落とし込みながら、地域のみなさまに向けて発信していきます。