Fujiwara/ 3月 27, 2025/ RESEARCH TOPICS


次世代アグリイノベーション研究センター食と生活部門の袁春紅教授および高木浩一教授らは、サクラマスの鮮度維持に関する研究成果をまとめた論文「Postharvest quality evaluation of masu salmon (Oncorhynchus masou) during ice storage by spinal cord and bleeding」を2024年7月に国際誌 『Journal of Food Composition and Analysis』 に発表しました。

 

この研究では、岩手大学三陸水産研究センターで養殖されたサクラマスを用い、氷蔵期間中の鮮度変化を評価しました。死後硬直の進行、ATP関連化合物、K値、遊離アミノ酸、ドリップロス、pHなどの指標を用い、神経締めおよび脱血処理が魚の品質に及ぼす影響を分析することによって、これらの処理がサクラマスの死後品質を向上させる有効な手法であることが明らかになりました。特に、甘味やうまみに寄与する遊離アミノ酸の増加や、ドリップロスの減少が確認され、食味や保存性の向上が示唆されました。この研究は、サクラマスの品質管理における神経締めおよび脱血処理の科学的な有効性を示すものであり、水産業における鮮度保持技術の発展に貢献することが期待されます。さらに、AI技術を活用した自動化処理の導入により、産業規模での効率的な品質管理が可能になると考えられます。また、本研究の成果は、サクラマスの風味向上を通じて消費者満足度の向上に寄与し、世界的な和食ブームにおけるサクラマスの需要増加に対応するための重要な知見を提供するものとなるでしょう。

【発表論文】
タイトル :Postharvest quality evaluation of masu salmon (Oncorhynchus masou) during ice storage by spinal cord and
      bleeding
著者   :Zhuolin Wang, Yumeng Lin, Xin Lu, Faria Afrin, Yuanyong Tian, Toshiaki Hirai, Koichi Takaki, Chunhong Yuan
雑誌名  :Journal of Food Composition and Analysis
DOI番号  :10.1016/j.jfca.2024.106606