5月26日(火)に「第35回 一般・高校生向けセミナー」を開催しました。今回は 「「データ」と「機械」で山を動かす!〜これからの林業と持続可能な森づくり〜」 をテーマに、齋藤 仁志(生態環境部門・農学部教授)が講演を行い、38名の参加をいただきました。
セミナーでは、データと機械を駆使して日本の森の課題に挑む、未来の「スマート林業」の在り方を中心にご説明いただきました。
最初に、世界と日本の森林の現状について説明がありました。世界では森林面積が減少傾向にある一方、日本は森林率が高く、伐採利用が少ないため増加傾向にあると述べられました。森林資源を適切に管理するには、伐採と植栽を繰り返して齢級や林分構成が偏らないようにすることが重要です。しかし、人手不足や安全性、収益性、災害リスクなど多くの課題があり、これらを解決するためにデータと機械を活用した効率化が期待されています。
次に林業作業の現状について触れられました。労働人口の減少や外国材との価格競争で林業は厳しい状況にあり、木材価格が上がらない以上、従事者の収入向上には機械化・効率化で収穫コストを下げる必要があると説明されました。欧州式の効率的な機械や作業システムの導入が求められており、岩手県では短材収穫システム(CLTシステム)などが導入され、生産性が北欧並みに向上している例が紹介されました。一方で高性能機械でも全地形に対応するのは難しく、機械導入可能なエリアをGISで事前把握することが必須で、機械作業が難しい地形では架線技術が必要だと補足されました。
最後に路網整備についての説明がありました。木材を搬出するには道が必要だが、日本の急峻で複雑な地形では無計画な路網開設が土砂災害リスクを高めるため、壊れにくい道づくりが重要です。そのため精密な地形把握が求められ、UAV(ドローン)を活用して将来人手をかけられる山を把握する取り組みが進められていると述べられました。まとめとして「伐った後は植える」プロセスの重要性が強調されました。
参加者からは次のような感想が寄せられました。
「ストーリー性がとてもよく、理解できました。もっと聞きたかった。」「「データ」と「機械」を具体的に挙げながら、日本や世界の森林の現状や打破していくべき点を分かりやすくまとめて発表してくださり、とても勉強になりました。」「林業は現在でも危険が伴う職業なのだと知ることができました。職場環境や待遇が今後改善していくことで、この仕事を志す方が増えて、産業としても発展していくといいなと思いました。」などの声がありました。
次回は 6月22日(月) に 「電気とかみなりが農業にできること」 をテーマに、高橋克幸(食と生活部門兼任教員・理工学部准教授)が講演を行います。今後も毎月程度のペースで継続開催し、当センターの研究成果を日常の身近な話題に落とし込みながら地域へ発信してまいります。皆さまのご参加を心よりお待ちしております。
