Fujiwara/ 1月 8, 2026/ NEWS

12月23日(火)に「第33回 一般・高校生向けセミナー」を開催しました。今回は【見えない電波が支えるスマート農林水産業:通信・電力伝送・センシングの無線融合技術】をテーマに、理工学部助教・村田健太郎(生態環境部門)が講演を行い、26名の参加者にご聴講いただきました。

セミナーでは、電波の基礎知識から、無線による電力伝送やワイヤレスセンシング技術の農学分野への応用まで、幅広く解説が行われました。
冒頭では、電波の波動性や指向性、アレーアンテナの仕組みについて説明があり、電波の進行方向の制御や到来方向の推定技術についても紹介されました。
続いて、無線で機器に電力を送る「無線電力伝送技術」についての解説がありました。この技術は、家庭や職場で使用される電池駆動機器(おもちゃやAEDなど)の電池交換の手間を省くほか、災害時の大規模停電における一時的な電力供給手段としての活用が期待されています。
一方で、無線電力伝送の社会実装に向けては、人体への影響を最小限に抑えることが課題となっています。現在は総務省の電波防護指針に基づき、安全とされる範囲で運用されていますが、より大きな電力を伝送するには、より強力な電波が必要です。その対策として、「人を検出してその方向への電波を弱める技術」についても紹介されました。
また、断熱性・耐久性・軽量性・緩衝性に優れ、農水産物の流通などにも利用される発泡スチロールの製造と、マイクロ波加熱技術との関係についても説明がありました。発泡スチロールは再資源化が可能なエコ素材である一方、製造時に大量の化石燃料を消費するという環境負荷の課題があります。これに対し、マイクロ波加熱による成型技術を企業と共同で研究しているとのことでした。
さらに、ワイヤレスセンシング技術についても紹介されました。高齢者の孤独死や幼児の車内置き去りといった社会課題に対し、カメラによる監視にはプライバシーや暗所での機能性といった課題があります。これらを解決する手段として、ワイヤレスセンシングによる生体の位置・行動・バイタルの遠隔検知技術の研究が進められています。
この技術は農業分野にも応用が期待されており、鳥獣による農作物被害の対策として、カメラよりも低コストで侵入を検出できる手法の開発が進められています。

参加者からは、「電波について基礎から応用まで幅広く学べた」「野生動物対策に電波技術が使えることに興味を持った」「センシング技術の活用方法についてもっと知りたい」など、多くの関心と好評の声が寄せられました。

ご好評頂いたセミナーについても、今年度は今回で一旦お休みとなります。次回は来年度4月以降の開催を予定しておりますので楽しみにお待ちください。