Fujiwara/ 6月 27, 2025/ NEWS

6月24日(火)「第28回一般・高校生向けセミナー」を開催しました。第28回は【都市・農村における人間と野生動物の関係の再構築に向けて】の演題で、原科 幸爾 生態環境部門兼任教員(連合農学研究科教授)が講演を行い、39名の参加者に熱心に聴講いただきました。

今回のセミナーでは、盛岡市街地にも出没するようになったツキノワグマや岩手大学構内にも表れるタヌキやキツネなど野生動物の観察状況の話に始まり、森林が空間的にどのぐらい連続しているかによってそのエリアに生息する野生動物のグループが決まってることを日本列島全域における評価結果を示しながら分かりやすく解説いただきました。さらに、盛岡市街地北部におけるニホンリスの追跡調査の結果を示しながら、国道拡幅工事の影響によるニホンリスの個体群の分断を防ぐために、森林の間をつなぐ「リスの橋」を設置した事例をお話しいただきました。また、人間と野生動物とのすみわけのために、やぶ狩り払いにより緩衝地帯を整備することでクマの出没件数を減らした大槌町の取り組みについても紹介いただきました。

参加者の皆さまからは、「市街地で柿などの果実を収穫しなくなったことや、刈り払いをしなくなったことで、農村部だけでなく市街地でも野生動物の住みやすい環境を提供している話を聞いて、野生動物との共生にあたり人間からの働きかけの重要さに改めて気が付いた」「個体数が減っているイヌワシを回復させるために失われた狩場環境を新たに作り出す生物多様性オフセットという考え方に非常に興味を持った」という感想が寄せられました。

次回は7月18日(金)に、【ポリ袋の正しい使い方~過去と未来~】と題し、芝﨑 祐二 生物生産部門兼任教員(理工学部教授)が講演を行います。

今後も継続的に開催し、当センターの研究成果を日常の身近な話題に落とし込みながら地域に向けて発信していきます。
ご参加をお待ちしております!