Fujiwara/ 9月 25, 2024/ NEWS

2024年9月18日(水)、生物生産部門のメンバーを中心に、福島県の企業2社を訪問し、事業見学や意見交換を行いました。

株式会社ホップジャパン様は、地産のホップを使ったクラフトビール作りに加えて、醸造所を核とした工場見学・試飲施設、地産地消の買い物ができる施設を実現し、将来的にはモルトカスや食物残渣を再利用した野菜畑・畜産を行う地域に根差した循環型の会社を目指しています。今回の見学では、ビール作りの説明・醸造所の見学と共に、醸造士の村主さんから将来を見据えた会社の試み等についてもご説明がありました。ホップジャパンでビール作りの過程で生じた廃棄物は、ほぼ全て地元の農家さんが肥料とするために利用しており、現状でも産業廃棄物はほとんどないようです。さらに、モルトカスを施肥して栽培した麦の生産性や放射性セシウムの移行性についても農研機構や北海道大学と連携して研究を行っているとのことで、福島という地域独自の課題解決にも積極的に取り組んでおられました。
今回実際に訪問することで、パッケージングやデザインにこだわった製品の品質の高さと共に、地産の原料を使った製品の生産時に生じた廃棄物も上手に自然に還すために努力されている企業努力とシステム作りへの熱意を肌で感じ、良い刺激を受けることができました。

株式会社クレハ様は、家庭用品から工業化学薬品、合成樹脂、医薬、農薬など幅広く手掛ける総合大手化学メーカーです。1944年に福島県で開業し、クロロベンゼン、苛性ソーダ、塩化ナフタレンなどの工業品を生産していました。その後、塩化ビニリデン(クレラップ)、炭素繊維、抗悪性腫瘍剤(クレスチン)、KPS樹脂(PPS)、慢性腎不全用剤(クレメジン)、生分解性ポリグリコール酸、二次電池用PVDFの製造を行っています。訪問先では、全体説明、バスによる事業所内ツアー、研究所内の見学、農業用抗菌薬の開発見学などを経て、質疑応答をしていただきました。施設内には、研究所、工業製品設備、各国産の工業用塩、発電所、分析センター、物流センター、また病院が併設されていました。
いわき事業所の研究所では、大きな柱のない吹き抜けのフロアーに研究者、事務職員がデスクワークを行い、中二階には研究チームで議論する場所があり、クレハの精神である、「なければ、つくれば」に基づき、世界にこれまで存在しない、まったく新しい商品開発を目指している姿が印象的でした。研究所の屋上からは事業所が見渡せ、太平洋が遠望でき、非常時の津波などの災害時に従業員が屋上に避難できるように設計されていました。東北地区での大きな工業施設、研究施設は私たち岩手大学の学生にとっても大変魅力のある職場ではないかと感じました。東北から世界への信念を感じるフィールドツアーとなりました。

今回の現地訪問にご協力いただきました、株式会社ホップジャパン様、株式会社クレハ様、どうもありがとうございました。