Fujiwara/ 6月 29, 2023/ NEWS

6月21日(水)「第12回一般・高校生向けセミナー」を開催しました。
第12回は【電波を用いた農業用センシング】の演題で、本間尚樹 生態環境部門兼任教員(理工学部教授) が講演を行い、41名の参加者に熱心に聴講いただきました。

電波、波にはいろいろあって、音の波、水の波、電磁波とあります。
波は必ず2つがセットになっており、常に2つの流れが同時に伝わります。
電波は体に悪いイメージがありますが、いろいろと周波数で分類されています。

電波の主な用途は、通信・放送、センシング、加熱加工、電力伝送に使われています。
電波センシングは、Wi-Fiを使い、Wi-Fiの飛び方を確認して、侵入者の動きを探し、位置などを検出するもので、畑の侵入者(人、害獣)をセンシングして知らせたり、果実の糖度や樹体の水分量、野菜の温湿度・照度をセンシングし品質管理が保たれます。
電波センシングは、農業に応用されており、スマート農業の普及に期待されています。

有害鳥獣のセンシング
年々野生動物の農作物の被害が重大な問題になっております。
防鳥獣ネット、電気柵、音や視覚による威嚇など、様々な対策をしておりますが、コストや効果の継続性に課題があります。
Wi-Fiなど電波を利用したセンシングでは、電波は透過するため、監視範囲が広く、外部から受ける力に影響されないため、電波が届けば検出が可能です。

樹木のセンシング
遠隔、非接触で樹木の水分量を検出し、灌水を最適化にします。
また、農薬撒布、温室ハウスの温度・湿度管理、野外における天候や降水量の観測など環境の管理が可能になります。

家畜のセンシング
非接触で牛の活動量を検出することにより、発情の検出や、健康状態が記録できます。
また位置情報が確認できるため、従来のような電気刺激などのフェンスが必要なくなり、拘束せず、自由に放牧でき、放牧管理ができます。

農業がデジタル化になれば、省力化に繋がり人手不足の解消、農産物の高品質化が期待できます。
電波を用いたハイテク技術を低コストで実現し、スマート農業を発展させるため日々研究を行っています。

参加された皆様からは、「電波の揺らぎは人間がいるだけで生じ、センシングによって畑などを守り、農業にも生かされることがとても興味深かった」、「農業人口が少なくなっているおり、農業の人手不足が解消できると思った。実用化に期待」、「電波の特長である、ものをつき通すことができる、非接触の検出などを様々な発想で応用しているのがすごいと思った」など、感想が寄せられました。

次回は7月12日(水)に
【新技術を利用した持続可能な森林管理を目指して】と題し、
齋藤仁志 生態環境部門兼任教員(農学部准教授)が講演を行います。

今後も継続的に開催し、当センターの研究成果を日常の身近な話題に落とし込みながら地域に向けて発信していきます。
ご参加をお待ちしております!