次世代アグリイノベーション研究センターの出口善隆教授らは、乳牛の分娩時間帯を予測する手法として、分娩前における行動と分娩時間帯の関係に着目し、ホルスタイン種経産乳牛の分娩前行動を観察・解析しました。その結果、採食行動および探査行動について分娩時間帯との関与が認められ、分娩時間帯の予測に有用である可能性を示唆しました。なお、本研究の成果は、国際的な学術論文誌に掲載されています。
分娩時間帯を予測することは分娩事故を防ぎ、飼養者の負担を軽減するために重要です。そこで本試験では供試牛を分娩時間帯により午前分娩群と夕方分娩群に分け、分娩前7日間の行動について解析し、分娩時間帯予測の可能性を検討しました。
ホルスタイン種経産乳牛11頭を胎子娩出時間帯によって午前分娩群と夕方分娩群の2群に分けました。両群について、ビデオカメラで牛の行動を記録しました。日毎の行動出現時間、行動から行動への変化回数を日中と夜間に分け解析しました。統計には多重比較で補正した二元配置分散分析を用いました。隣接行列を用いて行動連鎖解析を行い、構造化モデリング手法により階層構造図を作成しました。
その結果、採食行動および探査行動が分娩時間帯に関与しており、分娩時間帯予測に有用である可能性が示唆されました。階層構造図では、夕方分娩群には一定の行動連鎖パターンが存在しましたが、午前分娩群には存在せず、このような不定な行動連鎖パターンを検出することで分娩時間帯を予測できる可能性が示唆されました。
【発表論文】
タイトル :Pre-calving behavior in dairy cattle with different calving times
著者 :Shinada, W., Gakumazaki, N., Koshikawa, S., Ito, T., Fujiwara.,
T. Takahashi, M,. Chida, Y., Okada, K. and Deguchi, Y.
雑誌名 :Animal Science Journal
DOI番号 : https://doi.org/10.1111/asj.13833