次世代アグリイノベーション研究センターの高木浩一教授らは、ファインバブルが混在する水中において、高電圧パルス電圧を印加した場合に生じるプラズマの発生特性を明らかにしました。粒子径が15~50 μmのファインバブルが液中に接地した高電圧電極の近傍存在することにより、気泡内部での絶縁破壊現象がトリガとなり、水中プラズマを容易に形成できることを明らかにしました。本成果は、応用物理学会の学術誌 Japanese Journal of Applied Physics誌(インパクトファクター1.50 in 2023)に掲載されました。
水中で生じるプラズマは、高密度の化学的活性種や、衝撃波などを瞬時に生成することが可能で、液中の有機物分解や殺菌など、様々な作用を引き起こすことができます。しかし、水中でのプラズマの生成には、気中と比べより高い絶縁破壊電圧や大電流が必要でエネルギーの損失も大きいことが欠点であり、その利用の妨げとなっていました。本研究では、ファインバブルを導入することによって、プラズマの発生に必要な絶縁破壊電圧を大幅に低減することができる独自の手法の確立とともに、水中プラズマの形成メカニズムの解明につながる成果を挙げています。このことは、今後利用が期待される、水中プラズマの環境や農業、食品、医療などの広い応用分野への発展につなげる、重要な知見となります。
【発表論文】
タイトル :Influence of fine bubbles on generation efficiency of pulsed discharge underwater
著者 :Y. Maeda, R. Takada, K. Takahashi, K. Takaki, Y. Ueda, and T. Sato
雑誌名 :Japanese Journal of Applied Physics, 64, 026001 (8pp), 2025.2
DOI番号 : https://doi.org/10.35848/1347-4065/adadd0