
AIC生物生産部門の折笠貴寛教授の研究グループは、農産加工食品の製造において一般的に適用されているブランチング処理に着目し、熱湯とマイクロ波を併用した手法を導入することで、栄養成分の低下や試料構造の損傷などの品質劣化を抑制できることを明らかにしました。本成果は、Wiley社が出版する国際誌Journal of Food Processing and Preservation(インパクトファクター2.5 in 2025)に掲載されました
わが国では、単独世帯や共働き世帯の増加により加工食品の需要が高まっており、高品質な食品を製造するための加工プロセスの検討が重要な課題となっています。野菜類を対象とした食品を製造する際には、一般的に「ブランチング」と呼ばれる処理が施されます。ブランチングとは、農産物を加工前に加熱することで内在酵素の働きを抑制し、加工中や加工後の製品における酵素由来の品質変化を防ぐことを目的とした前処理です。従来は熱湯や蒸気による処理が主に用いられてきましたが、これらの方法では水溶性成分や色素の損失、組織の軟化など、品質への影響が問題となっていました。本研究では、ニンジンをモデルサンプルとして、熱湯とマイクロ波を併用した手法をブランチングに適用することで、試料損傷の抑制やビタミンC含量および色彩の保持など、品質への影響を軽減できることを学術的に示しました。今後は、処理時間の短縮などの要因を考慮してプロセスを最適化することで、環境負荷の小さい持続可能な食品加工技術の確立が期待されます。
【発表論文】
タイトル :Evaluation of the quality characteristics of carrots in combination with hot water and microwave blanching
著者 :Takahiro Orikasa, Yasumasa Ando, Natsuki Okoshi, Ryo Akahira, Kanoko Miura, Misaki Komuro, Kuniaki Sasaki,
Shoji Koide
雑誌名 :Journal of Food Processing and Preservation, vol. 2025, 7691678, 2025
DOI番号 :https://doi.org/10.1155/jfpp/769167

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