石油を原料とした従来のプラスチックが分解されずに環境中に蓄積することで引き起こされる様々な環境問題の対応策として、現在様々な生分解性プラスチック(生プラ)の開発が行われています。生プラの開発では、プラスチックを合成・加工するだけでなく、環境中でどのように生分解されるかを調査する研究もまた、生プラ使用が環境中へ及ぼす効果や製品開発の際の寿命コントロールなどを考える上で重要となってきます。
生物資源を材料するバイオプラスチックのポリアミド4(PA4)は、優れた材料としての性質を有し、陸・海洋環境と様々な環境下で生分解される生プラとして、現在、実用化を目指して研究開発が進められています。
AIC生物生産部門 山田美和らの研究グループは、以前東海大学・外村彩夏講師との共同研究によって、熊本県の圃場からPA4を分解できる新たな細菌を単離し、世界初のPA4分解酵素の特定に成功しました(1)。今回の論文では、単離菌のゲノムDNAからPA4分解酵素遺伝子を特定し、PA4分解酵素の異宿主における発現系の構築に成功しました (2)。さらに、特定したPA4分解酵素遺伝子の情報より、本酵素の立体構造も推定しました。そこで、山田らの研究グループが以前に世界で初めて発見した海洋細菌由来のPA4分解酵素(3)と本酵素の構造を比較した結果、両酵素は土壌もしくは海洋と異なる環境に存在する酵素にも関わらず、一部の構造はよく似ていることが明らかとなりました。本研究成果は、土壌、海洋環境中におけるPA4分解メカニズムを分子レベルで詳細に明らかとするための重要な知見を提供することができました。
【参考論文】
1. Y. Sasanami et al., Polymer Degradation and Stability (IF: 7.4) (2022)
https://doi.org/10.1016/j.polymdegradstab.2022.109868
2.Y. Saito et al., Frontiers in Microbiology (IF: 4.5) (2026)
https://doi.org/10.3389/fmicb.2026.1811100
3.Y. Saito et al., Polymer Degradation and Stability (IF: 7.4) (2023)
https://doi.org/10.1016/j.polymdegradstab.2023.110446

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