9月11日(木)「第30回一般・高校生向けセミナー」を開催しました。第30回は【アブラナ科野菜成分の健康機能〜骨格筋機能への効果〜】の演題で、伊藤 芳明 食と生活部門兼任教員(農学部教授)が講演を行い、27名の参加者に熱心に聴講いただきました。
食の豊かさが進むにつれて、減少した病気がある一方で、生活習慣病のように食事や食生活が要因となる病気が増加しています。こうした背景から、食に対する関心が高まり、機能性に焦点を当てた様々な食品が世の中に出回るようになりました。
今回のセミナーでは、辛味成分であるイソチオシアネートの健康機能について、糖尿病や骨格筋への良好な影響の可能性を、そのメカニズムとともにご解説いただきました。体内に取り込まれた糖を最も多く利用する器官は骨格筋ですが、インスリンの分泌量が減少すると糖の消費が滞り、糖尿病を招きやすくなります。
これに対し、イソチオシアネート化合物の一種であるPEITC(フェネチルイソチオシアネート)が骨格筋に働きかけ、糖の取り込みを促進することが明らかとなり、糖尿病の予防や改善につながる可能性が示されました。また、PEITCには筋タンパク質の分解を抑制する性質があることも解説されました。
これらの研究成果を人に応用するには、今後の臨床研究などを通じた検証が必要ですが、アブラナ科野菜が持つ可能性を紐解く内容となりました。
参加者の皆さまからは、以下のような感想が寄せられました。
「サプリメントなどの健康食品については、ネット広告などを通じて一方的に情報が送られてくるため、消費者がじっくり考える暇もない状況です。だからこそ、基本的な知識を身につけて、自分自身を守っていきたいと思います。」
「インスリン不足によって筋肉が減少しないよう、タンパク質を意識して摂取したいと感じました。」
次回は10月23日(木)に、【スマート農業技術の活用~画像処理やAIによる省力化支援~】と題し、木村 彰男 データサイエンス部門兼任教員(理工学部教授)が講演を行います。
今後も継続的に開催し、当センターの研究成果を日常の身近な話題に落とし込みながら地域に向けて発信していきます。
ご参加をお待ちしております!